Autumn and Winter 2018 / Antique fan

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長きに亘り愛される美しさと芸術性。
多彩なアンティークコレクションを愛でるとともに、
私たちを惹きつける魅力を探ります。


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生命の持つはかなさと
躍動を体現するブローチ

19世紀末のイギリスで作られたブローチは、どちらも生き物の意匠。当時、蜉蝣は生命のはかなさの象徴として、アール・ヌーヴォーを代表するモチーフでした。煌めくダイヤモンドの羽根や背中のエメラルド、そしてルビーで表現された赤い目など細部まで精巧な作りです。鷲はユーラシアの象徴としてヨーロッパ各地で愛されてきました。胴体に使われた流線形のパールは、アメリカ・ミシシッピ川で採れた天然真珠。ミシシッピ・パールは通常、米粒大なのに対し、この大きさは大変希少です。その羽根のような形にインスピレーションを受け、黄金の頭と脚を持つ堂々とした鷲が生まれたのでしょうか。それぞれの個性が、生命の持つ繊細さと強さの対比を感じさせます。

BROOCH
left ¥594,000(19c / ENGLAND)
right ¥540,000(19c / ENGLAND)


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ガラスに浮かび上がる
翼を広げた火の鳥

アール・ヌーヴォー、アール・デコの両時代に亘り活躍したフランスのガラス工芸家ルネ・ラリック。20代から宝飾デザイナーとして活躍、卓越した功績を表彰するレジオンドヌール勲章を30代で受賞するほどの成功をおさめましたが、50歳を過ぎてからガラス作品の製作に専念。その分野での地位を築き上げた才能あふれる作家です。昆虫や鳥などの生き物と、女性やギリシャ神話の精霊ニンフを組み合わせた姿はラリックが好んだモチーフですが、この“Firebird”も女性の姿をした火の鳥が枝に止まった様子をデザイン。羽ばたく蝶をあしらったブロンズの台座に内蔵された電球が灯ると、一層神秘的な姿が浮かび上がります。

René Lalique“Firebird” ¥8,640,000(c.1922 / H42cm / FRANCE)